【新刊】ローカルクリエーター/編著 スタブロブックス
まず本書は、単に地方暮らしを推奨するだけの本ではありません。あるいは「半農半x」のように、小さな暮らしを楽しみながら持続可能な生き方をしましょうと提言する本でもありません。
本書は、地方を拠点に好きな仕事で付加価値を生み出し、得た利益を地元に引き込む――そんなウィズコロナ、アフターコロナ時代の新たな地方論を考えるための本です。
「ぼくたち/わたしたち」が地方を元気にするときがきた
日本の戦後復興を支えたのは地方の人たちでした。多くの地方人材が太平洋ベルト地帯に移り住み、国が推し進める工業化の担い手として懸命に働いたからです。その結果、日本は世界に誇るものづくり大国となり、一億総中流社会が実現しました。
ところが戦後70年が過ぎた今、東京一極集中が加速する一方、多くの地方は元気を失い、人口減少や高齢化率の上昇に歯止めがかかりません。かつて地方の人たちが工業地帯に出てがんばって働き、日本は豊かになったのに、巡りめぐって自分たちの地元を衰退に追いやったのだとしたら、こんなに悲しいことはありません。
そこで、「ぼくたち/わたしたち」の出番です。地方衰退が叫ばれている今、都会で大きく成長した「ぼくたち/わたしたち」が地方に還り、築いた経験やノウハウを活かして地元を元気にしよう――そんな呼びかけの気持ちをもって本書を企画しました。
「ぼくたち/わたしたち」とは?
本書では、UJIターン(都市部の居住者が地方に移住する総称)をした人、あるいはしようとしている人たちを想定しています。
ひと昔前のUJIターンは、都会暮らしに疲れた人が田舎に移住するイメージでした。本書のとらえ方はそうではなく、積極的な地方への凱旋のイメージです。
いちばんのポイントは、地方移住後も地域内での事業に閉じていないこと。つまり域外の都市部とも積極的につながりながら仕事をしていること。
具体的には、つぎの2つです。
・都会で経験やノウハウを積み上げた人が、人生のステージアップを目的に地方に移住し、築いた知的財産や人的財産を活かして地方で付加価値を生み出せる人。
・その生み出した付加価値を地産地消にとどまることなく、域外のマーケットにも提供し、得た利益を地元に引き込むことができる人。
地方で付加価値を生み、地元に利益を還元する「ローカルシティワーク」
本書が提唱したいのは「ローカルシティワーク」という働き方、暮らし方です。ポイントはつぎの3つです。
地方×〇〇 地方を拠点に好きな仕事を掛け合わせ、付加価値を生み出す
地方×都市部 都市部との垣根を超えたクリエイティブワーク※で付加価値を最大化する
地方×地産外消 生み出した付加価値を域外に提供し、得た利益を地元に引き込む
※クリエイティブワーク:IT業や企画業、広告業、出版業をはじめとした情報通信業、クリエイティブ業種を想定
まず、地方を拠点に好きな仕事「x(エックス)」を掛け合わせ、付加価値を生み出せる論拠を示していきます。
つぎに、都市部を掛け合わせる意味は付加価値の最大化です。奇しくもコロナで地方に居ても都市部と連携しながら仕事ができると分かりました。地方を拠点に都市部との垣根を超えたクリエイティブワークで、より魅力的なモノづくりやコトづくりが可能と提案します。
そして最後に、地産外消です。地方で生み出した付加価値を地産地消にとどまらず、域外のマーケットにも積極的に提供することで、得た利益を地元に引き込む地域貢献が様々な分野で、かつ個人レベルでも可能と提案します。
つまり、「地方を拠点にクリエイティブワークで付加価値を生み、得た利益を地元に還元する」ということです。この概念を本書では「ローカルシティワーク」と定義します。そしてこの「ローカルシティワーク」を実践するプロフェッショナルのこと、本書では「ローカルクリエーター」と位置付けます。
地方で付加価値を生む「ローカルクリエーター」こそ、地方創生の主役
地方を拠点にクリエイティブワークで付加価値を生み、地元に利益を引き込める「ローカルクリエーター」が増えれば、消費と納税というダブルインカムで地域の経済を活性化させられます。
クリエイティブワークで稼げる個人が日本中の地方に生まれれば、日本の中で内需を盛り上げ、地方全体を活性化できるのではないか。コロナでインバウンド需要がいったん消失したものの、日本経済は底堅い内需が支えている事実も改めて示されました。コロナを乗り切ったとしても、また新たなパンデミックがいつやってくるか分かりません。インバウンドに期待するだけではなく、国内需要の強化で日本の足腰を強くする。そんな意識をもつことが大切な気がします。
実践者ケーススタディ
以上のような「ローカルシティワーク」の実践例を示すために、本書では地方で活躍している様々な分野のプロフェッショナルを紹介。地方を拠点に付加価値を生み、地元に利益を還元する働き方、暮らし方に迫り、ウィズコロナ、アフターコロナの地方論を考えていきます。
(版元サイトより)
■新刊でのお取扱いです。