【新刊】ナンセンスな問い
友田とん
本屋には行く。なぜなら、体にいいからだ。
「ナンセンスな問いに私は駆り立てられる。そこには意味など何もないし、問うたところで社会が変わるというようなものでもない。しかし、しばしば当然と思っているところに風穴を空けてくれることがある。問わなければ気づきもしなかったことが、初めて目に留まる。いつもの日常がちょっと違って見えてくる。世界が可笑しさに満ちてくる。満ちてきたらどうなのだと言われると、困ってしまうが、困ったなあと言いながら、私は今日もナンセンスな問いを発している。」(本文より)
『『百年の孤独』を代わりに読む』『パリのガイドブックで東京の町を闊歩する』の著者による、待望の作品集。連作エッセイ「本屋に行く」、小説「私の応援狂時代」ほか、各媒体に掲載された作品に書き下ろしを加えて単行本化。
まえがき
本屋に行く「共同開発されたうどんをめぐって」
アウレリャノはTシャツを着たか?
本屋に行く「時々負ける水戸黄門」
旅日記を書きはじめると
本屋に行く「思考はやがて発酵して妄想となり」
東京で会いましょう
本屋に行く「それは慣用句か?」
串揚げ屋の向こうへ
本屋に行く「本屋に行かない」
正解は一つではないが
本屋に行く「丘を越えて」
いつだって私にはドトールがあった
本屋に行く「古井由吉をドトールで読む」
とにかく書いている
本屋に行く「付録を探す」
眠れない夜に
本屋に行く「すすめられた本」
返礼品
本屋に行く「縁」
本町で地下鉄を乗り換えたことがある
本屋に行く「続いている首塚」
積み重なっていく日常の先に
私の応援狂時代
スーパーの息子
あとがき
執筆活動と同時に、出版社「代わりに読む人」も立ち上げ活動する著者による、エッセイ、小説集。
そもそも出発地点を間違えているにも関わらず、真摯な眼差しから追求される「ナンセンスな問い」は、著者独特の可笑しさを伴いながら、読者を今までとは異なる地点へ連れて行ってくれます。
友田とん(ともだ・とん)
作家、編集者。京都府生まれ。可笑しさで世界をすこしだけ拡げるひとり出版レーベル「代わりに読む人」代表。博士(理学)。
大学では経済学、大学院では数学(位相幾何学)を研究し二〇〇七年に博士(理学)を取得。企業でコンピュータサイエンスの研究者・技術者として勤務する傍ら、『『百年の孤独』を代わりに読む』を文学フリマ東京で発表。同書を書店に置いてもらうため営業(行商)しながら全国を巡る。その後、「代わりに読む人」を立ち上げ、独立。自著のほか『うろん紀行』(わかしょ文庫)、『アドルムコ会全史』(佐川恭一)、文芸雑誌『代わりに読む人』を刊行している。
著書に『『百年の孤独』を代わりに読む』、『パリのガイドブックで東京の町を闊歩する』シリーズ(代わりに読む人)。共著に『ふたりのアフタースクール ZINEを作って届けて、楽しく巻き込む』(双子のライオン堂出版部)。ほか、寄稿多数。