すこしだけ深く息を吸う
Price ¥500
すこしだけ深く息を吸う
橘ぱぷか
いつかの私の支えとなるもの。そんなかけがえのない本との出会いを1冊のzineにまとめました。
読むことでゆさぶられた感情、引き出された記憶とともに
“おわりに”より
学生のころ長い通学の途中、電車で本を読むのが好きだった。ページをめくり、やがて胸がいっぱいになってたまらず顔を上げると、目の前には広がる海。光が射してきらきらと波打っている。
本を読んでいるといろんな感情がこみ上げて、苦しくてたまらなくなることがある。でも読み終えた後は決まっていつもよりすこしだけ、深く息を吸えるようになれた気がする。
そんなふうに読むことを通して大きく動いた心の軌跡を、言葉に変えて留めておきたいと思った。あの頃みたいにゆらゆらと海を見ながら本を読む機会はなくなってしまったけれど、今だからこそ出会える本や増えた感情や記億の引き出しがあって、それが嬉しい。
いつかの私をまるごと掬い取ってくれるもの。やさしく包んでくれたり、自分の心の行先を明るく照らしたりしてくれるもの。そんな本との出会いとよろこびをこれからも噛みしめて。